「眠る前にバナナを食べるとよく眠れる」と聞いたことはありませんか。バナナには、睡眠に関わるメラトニンの材料になるトリプトファンが含まれます。
ただ、睡眠のためにバナナを夜に食べる、というより、朝の食事に取り入れるイメージのほうが一般的です。日中に光を浴び、活動し、夜に眠るという一日のリズムのなかで、朝から栄養を整える考え方です。
ここで大切なのは、バナナだけに頼らないことです。トリプトファンは、体内でつくれない必須アミノ酸のひとつ。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、タンパク質を含む食品からとる必要があります。
トリプトファンは、どのくらい必要?
成人のトリプトファン必要量の目安は、体重1kgあたり約4mg/日です。体重60kgの人なら、約240mg/日になります。ただし、これは睡眠のためだけに決められた量ではなく、体を維持するための必須アミノ酸としての目安です。
生のバナナに含まれるトリプトファンは、可食部100gあたり10mg。60kgの人が必要量のすべてをバナナだけでとろうとすると、単純計算で約2.4kg必要です。
もちろん、バナナだけで必要量を満たす必要はありません。普段の食事にもトリプトファンは含まれています。「バナナを食べたから大丈夫」でも、「バナナだけでは足りないから意味がない」でもなく、食事全体で考えることがポイントです。
朝食のタンパク質が、睡眠の土台になる
忙しい朝は、パンやおにぎりだけで済ませてしまいがちです。そんなときは、卵、納豆、ヨーグルト、牛乳・豆乳などを一つ加えるだけでも、朝食にタンパク質を足せます。
朝にバナナを食べるなら、ヨーグルトや牛乳・豆乳と組み合わせる。おにぎりの日なら、ゆで卵や納豆を足す。こうした小さな組み合わせが、毎日の栄養の土台になります。
プロテインを使うのも、一つの選択肢
食事からとることが基本ですが、朝食をとる時間がない日、外食や欠食が続く日もあります。そのようなとき、プロテインはタンパク質を手軽に補う選択肢になります。
プロテインは、飲めば眠れるようになる食品ではありません。それでも、タンパク質が不足しがちな食生活を補い、トリプトファンを含むアミノ酸をとる助けにはなります。製品によってタンパク質量や原材料、アミノ酸の組成は異なるため、目的に合うものを選びましょう。
眠りは、夜だけでつくられない
眠りは、寝る直前の一品で決まるものではありません。朝食、日中に光を浴びること、体を動かすこと、夜に明るい光を避けること。こうした一日の積み重ねが、眠りのリズムを支えます。
バナナは、その始まりに取り入れやすい食品です。朝食にタンパク質を足しにくい日は、プロテインも上手に使う。無理なく続けられる方法を選んでみてください。
まとめ
- トリプトファンは、体内でつくれない必須アミノ酸
- 成人60kgなら、必要量の目安は約240mg/日
- 生バナナ100gには約10mg。バナナだけに頼るのは現実的ではない
- 食事を土台にし、忙しい日はプロテインでタンパク質を補うことも選択肢
参考:FAO/WHO「Amino Acid Scoring Patterns」/文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
