睡眠について調べると、ビタミンB6の名前を見かけることがあります。B6は、タンパク質やアミノ酸の代謝、神経伝達物質の合成に関わる栄養素です。睡眠ホルモンの材料になるトリプトファンと一緒に語られることが多いのも、そのためです。
ただし、ビタミンB6を多くとれば眠りがよくなる、というほど単純ではありません。眠りを支える栄養は、タンパク質、ビタミン、ミネラルがつながって働くものです。特定の一つだけを増やすより、毎日の食事を整え、そのうえで足りない部分を補う考え方が役立ちます。
B6は「眠らせる成分」ではない
ビタミンB6は、体内の100を超える酵素反応に関わり、とくにタンパク質の代謝で重要な役割を担っています。また、神経伝達物質の合成を助ける働きもあります。
だからといって、B6を単独でとれば不眠が解決するわけではありません。眠れない背景には、生活リズム、ストレス、睡眠環境、カフェインやお酒、病気や服用中の薬など、さまざまな要因があります。ビタミンは、それらを一度に解決するものではなく、体の基本的な働きを支える栄養素です。
食事の中では、チームで考える
タンパク質を含む食品には、ビタミンやミネラルも一緒に含まれています。魚、肉、卵、大豆製品、乳製品、野菜、果物などを組み合わせると、B6だけでなく、葉酸やナイアシンなども含めて、食事の幅をつくれます。
「睡眠にはこの成分」と決めて一つの食品だけを増やすより、主食・主菜・副菜をそろえるほうが、続けやすく、栄養の偏りも減らしやすくなります。
サプリメントは、足りない分を埋める選択肢
毎日、理想どおりの食事を続けるのは簡単ではありません。仕事が忙しい時期、食欲が落ちている時期、外食が重なる時期には、栄養が偏ることもあります。
そんなとき、サプリメントは食事の代わりではなく、足りない分を補うための選択肢になります。B6を含むマルチビタミンなどを選ぶ場合も、成分量を確認し、複数の製品を重ねて同じ栄養素をとり過ぎないようにしましょう。
サプリメントを選ぶときは、「何が足りていないのか」「食事で補えるか」「続けられる量か」を考えることが大切です。持病がある方、薬を飲んでいる方、妊娠・授乳中の方は、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。
まとめ
- ビタミンB6は、タンパク質の代謝や神経伝達物質の合成に関わる
- B6だけを増やしても、不眠が解決するわけではない
- 食事を土台に、タンパク質・ビタミン・ミネラルを組み合わせて考える
- サプリメントは、食事で足りない部分を補う選択肢
- 成分の重複や高用量には注意し、必要に応じて専門家へ相談する
参考:米国国立衛生研究所(NIH)Office of Dietary Supplements「Vitamin B6 Fact Sheet for Health Professionals」